胸がドキドキして、これ以上ないぐらいに苦しくって。


まるで発作でも起こしてるかのように、動悸が落ち着かない。



芦谷の一つ一つの動きが、俺を奮い立たせていく。



「サイン会……。」


「え?」


「サイン会。行きますか?」



初めは勘違いからだった。



「純恋先輩、行きたいんでしょう?」



芦谷には、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。


友達になってからも、こんなにも芦谷を好きになるなんて、思わなかった。



「な、なんで。」


「それぐらい、先輩見てたら分かりますから。」


「……あっそ。」



なかなか素直になれない俺だけど、いつか、芦谷に伝えたい。



――好き......





そのためにも俺は、



〝男な自分に、さよならを〟





もう自分を偽るのは止める。


芦谷に、ありのままの自分を好きになってほしいから。