実は俺からしても、今回見た映画はよかったと思う。
芦谷ほどではないにしろ、さっきもらったばかりの監督のサイン入りパンフレットを見ては、ニヤニヤしていた。
そんな風に、芦谷が返って来るまでの時間をつぶしていると。
「わっ……!」
急に人の大群がやって来て、体が人の波に流される。
な、何だ!?
この人だかり……!!
気づけばトイレ前から、随分距離が離れてしまっている。
何とか元の場所に戻ろうと、波に逆らうんだけど……。
「いたっ……。」
「あ、ごめんねっ、大丈夫!?」
「きゃ……っ!」
「大丈夫? 人多いから、気をつけてね。」
道行く女の子たちを気にかけてりゃ、進むにも進めない……。
じゃあ気にかけるなって話だけど。


