ついさっき、藤崎を呼びに探しに行く前に、純恋先輩から聞いた話を思い出す。



「俺…………昔付き合っていた男に、"おまえとは全部遊びだった”って言われたんだ。」



真っ白なベッドの上で、俯いて、震える体を隠すように、自分を抱きしめて話す先輩。



「もうすぐあれから4年になるのにな……俺の中の時間は、あの日から止まったままなんだ……。」



純恋先輩は弱い。


強がっているだけで、本当は誰よりも弱いのだと思う。



尾方先輩はそれを知っていたから、おれにあんなこと…………。



………………。



おれは、無理矢理笑顔を作って強がる純恋先輩の手を握った。



「笑わないでください。」



そんな、苦しい顔


そんな



「偽らないで下さい、自分を。」


「…………ふ、ぇ……っ。」



おれがそう言うと、先輩はまるで魔法でも解けたかのように泣き出した。



その姿は、小さな子供みたいだったけれど


それが本当の純恋先輩なんだと思うと、何だか嬉しかった。