無意識に、唇をむぅっと尖らせる。
「か、隠してもないです。ただ……その、電話で少し友だちと喧嘩して……。」
「……ふーん。」
芦谷の目は泳いでいる。
絶対嘘だな。
「ほ、ほら! もうチャイム鳴りましたし、教室に戻りましょ? ね、先輩。」
……なんで隠すんだろ。
そんなに言いにくいことなのか?
芦谷に背中を押され、渋々部室をあとにする。
未だ追究したい想いはあるが、もういくら言っても無駄な気がして言葉にしない。
俺に言えないってことは、それだけ芦谷が俺に知られたくないってことだ。
…………別に気にしない。
元々、俺らはただの部活メンバーだったし。
知り合ってから、そう長い時が過ぎたわけでもないし。
俺に言えないことぐらい、芦谷にだってたくさんあるだろう。
……ただ、ちょっとだけ
寂しい。


