純恋は「だけど」と、言葉を続けた。



「俺っ、変だ……! 芦谷が恋しい、アイツと離れたくない! もっとっ、近付きたい……。」



芦谷、というのは、さっき部屋の前にいた男のことかな。



「ずっと、芦谷のことが頭から離れないんだ……。」



不器用な純恋

臆病な純恋



康介とのことがあったあと、純恋は1度だけ車に跳ねられた。


事故じゃない、故意によって起きたことだった。



あの日欠落した、純恋の心の一部。



「この気持ちって、何だっけ……?」



純恋

すみれ


もう、大丈夫なんだよ。



芦谷とかいう彼は、康介とは違う。


普段純恋以外の人と関わらないあたしには、何となく分かる。



純恋、もう怖がらなくていい。





〝女の子に戻っても、いいんだよ〟



お願いだから、もうこれ以上傷つかないで