「もちろんです。」



男の言葉は、どんな言葉よりも心強かった。



あたしはそれに対して何も言わず、

おそらく純恋が泣いているであろう、更衣室の中に入った。



「ひっ、ぅ……うぅっ……。」



奥から聞こえて来る泣き声。


あぁ……やっぱり。



「すみれ。」



普段の時よりずっと優しく、名前を呼ぶ。



「り、ん……?」


「うん。」


「凛……っ!!」



あたしより大きいくせに弱いその体を、ギュッと抱き締める。


あたしの肩が純恋の涙で濡れて、少し冷たかった。



「あ、のね、りん……俺、もう分かんないっ……。」


「…………。」


「康介のとき、全部捨てたから……っ。好き、とか、愛とか……。」



しゃくり上げる純恋の背中を、優しく撫でてあげる。