……抱き締めた。



「「「キャーーーッ!!!」」」



再び女の子たちの悲鳴が体育館内に響くけど、俺の耳には入って来ない。



今はそれより、


いつもよりずっと近いとこから香る、芦谷の匂いと。


俺の背中に回る、力強い腕を認識するだけで、精一杯だった。



「……おれは。」


「…………。」


「おれは、男が好きです。」



それは、俺にしか聞こえないような小さな声。



知ってるよ……そんなこと。


芦谷は男が好きで、女の子が大嫌いってことぐらい。



だから、俺も……!



「だけど。」



「純恋先輩だけは、違います。」