「ほら、落ち着いたのならさっさと準備しろ。劇台無しにしたら、その整った顔に拳入れるからな。」
「……はい。精一杯頑張らせていただきます。」
そう半ば怯えながらも、俺が返事をした瞬間…… 。
バァーンッ！！...
「どっ、どうしようっ！ 奈穂ちゃんが怪我しちゃった！！」
「「！！」」
「このままじゃ、劇ができないよ！ もう時間が無いのに！」
……芦谷、ごめん。
今の俺にはまだ、好きとか、そうじゃないとか
そういうのは、よく分からない。
だけど、これだけは嘘無しの本当。
芦谷といると、芦谷と話すと
〝女の子な、自分がここにいる〟
ドキドキ、するんだ。
