「純恋先輩!!」
予想してなかったとは言わない。
「待って、くださいっ……!」
自意識過剰になるぐらい、芦谷は俺だけに優しいから。
「せんぱ……っ! まっ……!」
急に逃げ出した俺を、芦谷はきっと追いかけて来ると思っていた。
「と、まれっ、って……言ってんだろっ!」
無駄に足が長ければ、スピードも速い。
あっという間に追いつかれて、芦谷は俺を腕の中へ閉じ込めた。
「ハッ……ハァ、ッ……。なんで、逃げるん、ですか……っ?」
そんなの、俺が知りたい……
「おれ……、何か先輩の気に障るようなこと、しましたか……?」
「っ、ちがう!」
だんまりを決め込もうと思ってたのに、咄嗟に口走った言葉。
芦谷のせいじゃない。
芦谷が、悪いんじゃない。


