「誕生日おめでとうございます」

そう言った伊地知くんに、
「ありがとう」

私は答えた。

「俺からの誕生日プレゼントです」

伊地知くんはそう言って、ガラスの花瓶を指差した。

「1口にバラと言ってもいろいろな意味があるんです。

花言葉はもちろんのこと、色や本数にもちゃんとした意味が込められているんです」

そう前置きをすると、伊地知くんが私の目の前に花瓶を置いた。

「赤いバラの中に白いバラがあるのは…」

そこで言葉を区切ると、伊地知くんは私を見つめた。

「“結婚してください”」