伊地知くんは私に恋のリハビリをすると言った。

そのリハビリは…確か、いつまでだっただろうか?

あの時はいい加減と言っていいほどに、彼の話に耳を傾けていた。

「――もし私が、伊地知くんのことを好きになったらどうするんだろう?」

そう呟いた自分に気づいた。

好きって、私が伊地知くんのことを?

そんなバカなと、私は首を横に振って否定した。

だけど、いつの間にか抱いてしまったこの思いを根本から否定することができない自分がいた。

伊地知くんは私のリハビリにつきあってるだけ。

だから、私が彼を好きになることなんてありえない。

心の中で言い聞かせると、手の中のハンカチをギュッと握りしめた。