「彼女に一言、謝ることがあるんじゃないか?」

そう言った伊地知くんに、
「えっ、えーっと…」

デブ男は戸惑った様子を見せた。

「い、伊地知くん…?」

声をかけた私に、伊地知くんは心配をしないでと言うように私に笑顔を見せた。

「警察関係の職業についている兄がいるんだ」

伊地知くんはそう言って、ジーンズのポケットからスマートフォンを取り出した。

デブ男の顔が真っ青になった。

「どうする?

今から兄貴を呼んできて、ここで事情聴取を行ってもいいんだぜ?」

伊地知くんが指でスマートフォンを動かすと、
「す、すみません!

それだけは勘弁してください!」

デブ男が真っ青な顔で謝ってきた。