Bartender

私の右手を握っていたのは、黒ぶち眼鏡をかけたデブ男だった。

握られている手が手汗だらけで気持ち悪い。

デブ男はダラダラと顔から汗を流しながらスクリーンの方に視線を向けている。

どうしよう…。

どうすればいいの…?

ここで何かを言って相手から逆ギレされるのは困るだけだ。

何より今は映画の最中である。

デブ男に握られている手が気持ち悪くて、胸に吐き気が込みあげてきたのがわかった。

気持ち悪い…。

気持ち悪い…。

気持ち悪い…!

ここで吐く訳にもいかないので、私は目の前のスクリーンに集中するために視線を向けた。