うん、我ながらいいコーディネートだ。

何よりも春らしい。

このうえからコートを着て、足元は歩きやすいようにスニーカーにすれば完璧だ。

「さて、と…」

明日着て行く服を畳んで枕元に置くと、並べた服を全てクローゼットとタンスへ戻した。

それが終わると、スマートフォンを手にしてベッドのうえに寝転んだ。

「明日はデート、と言うヤツか…」

そう呟いたのと同時に、心臓がドキドキと鳴っていることに気づいた。

違う違う!

伊地知くんと一緒に出かけることに喜んでいるんじゃなくて、緊張から不安になっているだけなんだってば!

「何であんなことを言ったんだよ…。

“あなたがよかったら…”――自分で言って、自分で気持ち悪くなってきた」

自分自身に向かって毒づいた後、私は枕に顔を埋めた。