伊地知くんはフッと微笑むと、
「一緒に行きませんか?」
と、言った。

「えっ?」

思わず聞き返した私に、
「千沙さんがよければですけど、今度の休みに俺と一緒に映画に行きませんか?

見たい映画があったらいいので」

伊地知くんが答えた。

一緒に映画に行くって、それって…。

「デート、ですね」

私の頭の中を読んだと言うように、伊地知くんが言った。

「たまには誰かと一緒に行きませんか?」

そう言った伊地知くんに、
「あなたがよかったら…」

私は首を縦に振ってうなずいていた。