もしかしたら、また正文から電話がかかってくるかも知れない。

去年みたいに飲みに行こうと誘ってくるかも知れない。

私は息を吐くと、電話帳のアプリを終了させた。

あーあ、我ながら未練がましい。

とっくの昔に結婚した元彼から連絡なんてくる訳がないじゃない。

伊地知くんと一緒にリハビリをしたら、私の未練がましい気持ちはなくなるのだろうか?

彼が私の未練がましい気持ちを消してくれるのだろうか?

「今夜8時に会いましょう、か…」

小さな声でそう呟いた後、窓の景色に視線を向けた。

電車のアナウンスが次の駅を告げた。