この手でどんな風に私に触れてくるのだろうか?

どんな風に触れて、どんな風に包み込んでくれるのだろうか?

今まで他人の手なんか興味がなかったのに、そんなことを想像してしまった。

私は彼の手に、自分の手を重ねた。

当たり前だけど、彼の手の方が大きかった。

「これは…?」

不思議そうな顔で私を見つめてきた伊地知くんに、
「――リハビリにつきあって」

私は言った。

「私が立ち直るまで、リハビリにつきあってくれるんでしょう?」

続けて言った私に、
「千沙さん」

伊地知くんは重ねていたその手を包み込んだ。

「やめたい時はやめても構いませんからね?」

そう言った伊地知くんに、
「うん」

私は首を縦に振ってうなずいた。