「それまで…と言うのはおかしいですけれど、俺とリハビリをしませんか?」

伊地知くんが言った。

「リハビリ…?」

思わず聞き返した私に、
「千沙さんがまた恋ができるようになるまで、俺がその相手をします」

伊地知くんが答えた。

「できるの?

何より、相手が務まるの?」

また聞き返した私に、
「千沙さんの力になれるように努力をします」

伊地知くんは笑った。

「とにかく、俺の前では気取らないでください。

つらい時はつらいって言って、泣きたい時は泣いてください」

伊地知くんが私の前に手を置いた。

彼の手は、男の人の手とは思えないくらいに華奢だった。