暗くなったんじゃない。

伊地知くんが私を抱きしめていた。

「年下なんてと、千沙さんは思うかも知れない。

だけど、俺は千沙さんの役に立ちたいんです。

千沙さんのことが好きだから放って置きたくないんです」

「――伊地知、くん…」

伊地知くんの腕の中は温かかった。

フワリと鼻についた香りは、当たり前だけどベッドのうえに残っていた香りと一緒だった。

「今日は俺1人です。

土曜日だから客はあまりこないでしょう。

だから、話をしてくれませんか?」

そう言った伊地知くんに、私は首を縦に振ってうなずいた。