「何を言ってるの?」

思わず私は聞き返していた。

「千沙さんは恋愛に向いていないとかって言いましたけど、それって逃げているだけなんだと思います。

俺はそんなあなたをつかまえるために追いかけます。

千沙さんのことを絶対にあきらめません」

私を見つめている伊地知くんの瞳は真剣で、そして純粋だった。

その瞳に引き込まれそうになる前に私は目をそらした。

「バカを言わないでよ…」

私は呟いた。

どうして私に構おうとするの?

あなたの周りにだって、いろいろな女の子がいるじゃない。

その中から誰か1人を選べばいいじゃない。