彼女が虹を見たがる理由

そのかわり、ショートカットの女がゆっくりとこちらを振り向いた。

首がボキボキと音を鳴らしながら180度後ろを振りむく。

血まみれの目が、俺を捕らえた。

嘘だ……!!

これはなにかの夢なんだ。

朝起きたら、きっと父さんが助けてくれる!!

女の手が、俺の首に伸びて来た。

氷のように冷たい手が俺の首に強く食い込む。

「ぐっ……」

逃れようとするが、体はびくとも動かない。

ならばと、女の首にかかったままの自分の手に力を込めた

しかし、女はそれを見てニヤリと笑った。

その口からは血が流れ出し、白い肌を赤く染めていく。

女の首はすでに折れていて、力を込めても柔らかな肉の感触が伝わってくるだけだった。

そして、よくやく気が付いた。

野間もこの女にやられたんだ。

野間の死は自殺。

自宅で、首をつって自殺。

ここで殺され、自室で首つりに見せかけられた……?

そう考えた瞬間、俺の視界は真っ赤な死の色に染まり、そして心臓は停止した……。