「どうして?」

「太陽が出てないからだ」

「へぇ。そう」

それでも村田さんは水をまくのをやめない。

もう何度も繰り返しているのか、村田さんの足元には水たまりができている。

注意しようと思ったが、やめた。

なんだかとても疲れてしまって、今からでも眠れそうだ。

「じゃぁ、俺は帰るから」

そう言って村田さんに背を向けた。

「昨日、遊園地の帰りにここで虹を作っていたら、夜になって野間マサノがやって来た」

村田さんの言葉に俺は動きを止めた。

そして、ゆっくりと振り返る。

村田さんは相変わらず虹を作っている。

「今の平野雄和と同じように、何かを探していた」

ドクンッと心臓が跳ねた。

野間が昨日ここへ来て、何かを探していた。

「そうなんだ。あいつも、落し物でもしたのかな?」

「そして今朝、自殺で見つかった」