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早足で歩いて行くと、暗闇の中に学校の校門が見えて来た。

俺は校門まで行き、周囲を懐中電灯で照らしだした。

特に変わった様子はない。

続いて這いつくばるようにして地面に顔を近づけ、そこに何もない事を確認した。

大丈夫、なにも、ない……。

ホッとして立ち上がり、顔を上げる。


その瞬間村田さんが目の前に立っていて俺は驚いて息を飲んだ。

どっと汗が噴き出すのを感じる。

「こんな所で何をしているの?」

村田さんはいつもと変わらない様子で俺に話しかけて来た。

その手には何度も見たことのあるゾウさんジョウロが握られている。

「落し物を……探しに」

俺は手に汗をにじませながらできるだけ自然にそう答えた。

「そう」

村田さんは興味を失ったようにそう言い、ジョウロの水をまき始めた。

「こんな時間に虹は出ないぞ」