開けて中を見てみた。

『何だ、これ。』


見たこともない、竹を細かく切り、両端を糸で編んだものが出てきた。そこには文字が書かれていた。


漢字・・・。


『何だ、これ?』


読んでみると、


“徐禎、右腕まだ運動痛あり、要観察”


とあり、中国語で書かれていた。


とたんに、士郎の中に記憶が怒涛の如くに蘇った。


『あれは、夢じゃなかったんだ。丞相、和ー。』


彼は泣き崩れた。


『士郎ちゃん、今は“和”って言ったよね?ひょっとしたら、あたしたち本当に、古代中国へ・・・。私も同じ“夢”見てた。いや違う夢じゃない・・・。。』


理佐子の手に何かの布切れが。


『これは錦。これで和の服を作ろうとしてた。あたしの息子・・・。和ー、月英叔母ー!』


理佐子も泣き崩れた。

やはり、あの歳月は本当にあったことだったのだ。


けれども、もう元には戻れない・・・。


『理佐子、俺らさ、夫婦やったんやね。』


『士郎ちゃん・・・。あたしたちの息子、どうしてるかな?』