今にも飛びかからんとする商人姿の兵士。


“助けて士郎ちゃん”

理沙子は祈った。


とその時


敵の兵士が3名程倒れた当時に、旅の僧侶風の男達数名が出てきた。


「お待たせしました。」


「あ、貴方は」


黄月英は知っているようであった。


「さあ、早くお逃げ下さい。」


二人は南へ走った。


しばらくすると、二人は落ち着いた様子で歩き始めた。追手が来なかったからである。


しかし、また少し経った時に


「おーい、先ほどは申し訳ありませぬ。」


との声が。


黄月英は振り返り


「馬忠殿、かたじけない。」

と挨拶した。


「馬忠殿ですか、お初にお目にかかります。諸葛庶の妻の理沙といいます。」


理沙子が挨拶したところ、馬忠が


「おお、あの閣下の病を快癒してくれた諸葛庶殿の奥方様でしたか、それそれは。」


馬忠ー当時はまだ、諸葛亮の下についている軍人が表の顔であったが。


「我々玄武隊が不甲斐ないが故にお二方を怖い目に会わせたことは反省せねばなりません。申し訳ありませぬ。」


「いえ、いえこちらこそ、命を助けて頂きありがとうございました。」


理沙子は馬忠に礼を言った。

玄武隊ー蜀の特殊部隊である。