異聞三國志

「う、うう。よかった。心配したんだから、士郎ちゃんは。」


理佐子だった。


「虞平殿のおかけで、私からもお礼を申し上げます。」


理佐子は泣きながらも深々と頭を下げた・・・。


「お顔をお上げくだされ、奥方様。」


虞平もいつの間にか泣いていた・・・。


手術から2か月・・・。


やっと、諸葛亮は宮中に戻った。


回帰祝いの宴会が劉禅主宰で行われた。諸葛亮はまだあまり食べられる状態ではなかったが、普通の食事は採れるようになったので、酒抜きで参加した・・・。

勿論士郎と虞平も招かれ、劉禅から直々に労いを受け、孔明からは私財から恩賞の黄金と蜀の名産の錦が下された。


士郎は、宴会を楽しんでいた。


が、


ゴホ ゴホと盛んに咳をしている男が一人・・・。



士郎は、弾かれたように孔明の前に来た・・・。


「丞相咳をされているあちらのお方は・・・。」


「ああ、関興じゃが。」


「やはり・・・。虞平殿。」

と虞平を孔明の席の側に呼び寄せて、


「更にもう一方助けなければならぬ、お方がいます・・・。」

と士郎は二人に言った。