「そして、なんだよ。」

「雷の晩に吹くと不吉なことが起きるらしい・・・。」


「不吉なこと?迷信じゃねぇ。」


と士郎は信じていなかった。


それから、密かに士郎は笛を吹いた。


もの悲しい音色がした。


3日たった夕刻であった。


ピー プー


士郎はバレないように裏山に登って、笛を吹いていた。


「笛吹いてて、いいのかな?士郎ちゃん。」


「り、理沙子!」


理沙子であった。驚いた反面、ときめいた士郎であった。


「おじさんに言っちゃおうかな。」


「なんだよ、脅すのか?」


「お小遣いくれたら、辞めてもいいかなぁ。士郎ちゃんは大学生だから、バイトしてるんでしょ?」


「がっちりしてるぜ。」


士郎は、悪い気はしていなかった。


また、士郎が笛を吹いた。


もの悲しい 笛の音色・・・。


その笛は山全体にこだましていた・・・。


「理沙子、遅くなるから帰るぞ。」


「はい、士郎ちゃん。」


「だからぁ」


二人は山を降りていった。


山の天気は変わりやすい。


遠くで雷の音が聞こえてきた。


「おっ、噂の雷じゃん。吹いてみるかな。」

「士郎ちゃん、辞めなよ。おじさん、不吉なことあるって、言ってたよ。」


「迷信だよ!」


もうすぐ神社であったが、士郎は笛を吹いた。


ピーヒョロロ ピーヒョロロ


その時であった、突然雷が二人に落ちた。


ピカッ ドスーン


衝撃がはしった。


「士郎ー。理沙子ちゃーん。」


周一郎は叫んだ。


だが、二人は忽然と姿が消えた・・・。


落雷で死んだのならば、遺体はあるはずだが・・・。