あたしは一呼吸おいて、再び話を始めた。


「そこに来たのが、銀行強盗の4人組だった」


桃乃を見ると「嘘よ!」と、声を上げた。


今にも泣き出してしまいそうだ。


それでも、あたしはそんなことおかまいなしに話を続ける。


「事件を知っているならもう知っていると思うけど、4人は拳銃を持っていた。


あたしたち2人は咄嗟に出口へ向かって逃げたの。でも、その時その男に腕を掴まれて……」


あたしは雷を指さした。


「それでも無理やり振りほどいて、外へ逃げた。でも、そのタイミングが悪くて翔吾の……」


そこまで言い、言葉に詰まった。


最後まで自分で説明するつもりだったのに、どうしても次の言葉が出てこなくて、あたしは翔吾を見た。


翔吾はあたしの手を握り、そして口を開いた。


「外の通りへ出た時、ちょうど目の前を車が走ってたんだ。咄嗟によけようとしたけれど、走って勢いがついていたから止まることもできなくて……そのまま、轢かれた」


淡々と説明をする翔吾に目の前が涙で滲むのを感じた。


できればそれ以上は聞きたくない。


思い出したくない。


逃げ出したい感情に駆られる。