「自殺未遂?」


春奈が目を見開いてあたしと翔吾を交互に見た。


おおよそそんな事をするようには見えないのだろう。


あたしも翔吾も、《mother》の法律に違反するようなことは今まで何一つしてきていないのだから。


「原因は、ここにいる2人」


翔吾がそう言い、雷と桃乃を指さした。


「ちょっと、変な事言わないでよ!」


サッと青ざめてそう言う桃乃に対し、雷は無表情のままだ。


「数か月前強盗事件が起こったのを覚えてる?」


あたしはルキと春奈を見てそう聞いた。


2人とも頷く。


かなり大きな記事としてメディアに取り上げられていたから、当然知っているだろうと思っていた。


「あの時、あたしと翔吾は被害に会った銀行にいたの。翔吾がアルバイト代を下ろして、一緒に遊びに行く予定だった」