数分間戻していたら、寝室のドアが開いてひょっこり季蛍ちゃんが顔を出した。
「陽さん、大丈夫ですか?」
「ッだ、大丈夫!!」
そう言いかけて、また洗面器に手をかける。
「…ん、ッ」
目を瞑って耐えていたら、季蛍ちゃんの手が背中に触れる。
「無理しなくていいですよ」
優しい笑顔を向けられて、緊張も解けていく気がする。
何かと季蛍ちゃんも体を崩すことが多いけど、やっぱりお医者さんらしい。
「温かい飲み物持ってきますね」
洗面器を片手に寝室を出て行く季蛍ちゃんの後ろ姿を見ていたら、本当に申し訳なくなった。
だけど再び睡魔が襲ってきて、そのままふっと眠りについてしまった。