「風邪だと思ってたけど」



戻ってきた港は、側に洗面器を置いてタオルで涙を拭ってくれた。



「今日、季蛍さんいるから」



「…え?」



「断ったけど家にいてくれるって。結は預けに行くけど、その方が安心だし」



そう言ってパタパタと支度を進める港は、荷物を抱えて時計を確認した。



「ごめん、今日もなるべく早く帰るようにするから」



「ん、大丈夫…」