「ゲホッ…んッ…」 「結は実家に預けて仕事行くね。ゆっくり寝てたらいいよ」 「ごめん…」 昨日の夜から何度もトイレに駆け込んでいたが、朝になっても吐き気が止まることはなかった。 お腹の捻れるような痛みも、気のせいだと自分に言い聞かせていたけれど、徐々に痛みが強くなっている。 「つらそうだな」 港はベッドの側にしゃがんで、涙を拭ってくれていた。 「吐きそうになったら我慢するなよ」 洗面器を片づけにと寝室を出ていく港の背中を見つめていると、余計に悲しくなってくる。