家について、車から蒼が夏来を抱き上げた。



「パパ…」



蒼の胸に体を預ける夏来の頬には、細い涙が伝っている。




車の鍵を閉めてから、エレベーターへと向かえば蒼の胸の中で咳き込みを繰り返していた。



「喘息が出てるかな?…今日行かせなくて正解だった」



「夏来…苦しそう」




「薬飲んでくれるかな」




「嫌がるよ?」




「…誰かさんに似てな」




「う……それは関係ない」