食べたいものを好きなだけ食べたので、無自覚だった空腹が満たされた。
どうやらよほどお腹が空いていたらしい。
風のある外を歩いたのも気分転換になり、憂鬱だった気分は晴れた。
ソファでテレビを見ていた奏太の隣に座り、じわじわと肩を寄せる。
「食べ終わったの?」
「うん…美味しかった」
「良かったね」
「…ありがと、本当…」
そう言いかけて急に恥ずかしくなり、腕を掴んで顔を埋めた。
「なに、どうしたの」
「別に…」
「顔、桃みたいだよ」
「桃みたいじゃない…」
「へえ」
「奏太が優しいのは珍しいから楽しんでおくの」
「珍しくないだろ」
「珍しいよ?」
「甘えるのがうまいねぇ」
「甘えてない」
予定通りの一日にはならなかったが、一人で部屋にこもって泣く月に比べたら、ずっとずっと良かったのだ。
「…ありがと」
このまま眠ってしまいたい、そう思うほどに心地が良かった。
「何回言うの」
笑った奏太の手が髪を撫でたのがわかり、両腕を上半身に回した。


