雲行きの怪しい空を背後に洗濯物を部屋の中へ取り込み、残っていた食器を洗う。
夕食は外の予定だったが、あの調子じゃ無理だろう。
取り込んだ洗濯物を片していたら、ソファに沈む毛布に動きがあった。
埋めていた顔を出し、その視線が合う。
「…ありがと」
不調のせいか、桃色に染まった頬。
ゆっくりと体を起こすと、何度か瞬きを繰り返した。
「楽になった?」
「なった…結構寝た気がする」
顔色は朝ほど悪くない。
薬が効いたのだ。
「奏太…」
「ん」
「ご飯行きたい…」
「え」
「…やだ?」
正気か?と思いつつ顔を上げると、自信ありげな表情が目に入る。
「やめたほうがいいと思うけど?」
「悔しいの…」
「わかるけど」
「家にいると気持ちが沈むから」
「…食欲は?」
「…あんまりだけど」
「来週の休みにしよ。楽しめないでしょ、体調悪かったら」
「……わかった」
「すぐ泣いちゃうんだから」
「ごめん…」
泣き顔を隠すように毛布をかぶり、姿が見えなくなる。
隣に腰を下ろし、少し強引にそれを引っ張った。
「散歩行く?」
「…」
「泣いてないで」
「…」
「気分転換」
「…ん」
「ご飯買って帰ろ」
「…そうする」
ふわっと笑みがこぼれた。
あまりにもわかりやすい。


