洗面台に打ち付ける水の音。
手を洗い、口をゆすぎ、にじんでいた涙を拭う。
もう出るものは何もない。
スッキリとしない胸の違和感があるだけだ。
「今回酷いな」
後ろで体を支えてくれていた奏太が 棚からタオルを取ってくれた。
手や口の水分を拭い、それに顔を埋めたまま動くことが出来なくなる。
「ベッド行きなよ」
背中を押されてリビングへ。
寝室へ行くよりも先に足の力が抜け、ソファに崩れ落ちる。
気持ちの悪さと痛みで感情がぐちゃぐちゃになり、タオルで顔を覆ったまま離せなくなった。
「落ち着いた?」
首を縦に動かすと、水の入ったグラスが渡される。
「ありがと…」
口の中に含んだ水が少しずつ喉を通る。
立っていられないほどの強い吐き気は落ち着いたが、どうも体が重くて怠い。
水を飲みきると、グラスが回収された。
まともに奏太の顔を見ることができず、じんわり何かが込み上げてくる。
せっかくの休日なのに。
そうない二人の休みなのに。
タイミングが悪すぎる…


