ベッドの中に入ってすぐに、そろりそろり、と移動してくる気配を感じる。
ものすごく静かに移動しているつもりだろうが、シーツが擦れる音でバレバレだ。
体を右側へ倒すと、すぐそこまで来ていた愛香が目を逸らす。
「なに」
「…べつに」
「寝ないの?」
「寝るよ?」
「……」
モゾモゾと更に距離を詰めると、胸にグリグリと顔を押し付けられて。
「めり込むわ」
「んふ…、大げさな」
「寝返りで潰すかも」
「そんな冗談で離れないから…」
やたら強気だ。
「絶対にここで寝るから」
「…はいはい」
気がつけば頭に手を回していた。
心臓の音をはっきりと感じ取る。
「ね、奏太」
「ん」
「今日ありがとう」
「……。なんかあったっけ」
「あのね…話したらすごく楽になったから」
胸から顔が少し離れ、
「ありがとう」
少し恥ずかしそうにもう一度そう言った。
額を寄せる。
触れそうなほどの距離に、愛香が目を丸くする。
唇が少し重なったあと、やられたような顔をして また胸に顔を押し付けた。
「…バカ」
「ふっ、寝なさい」


