すくわれた髪が耳に掛けられた。 唇を噛み締めていたのがわからないよう、平静を装うけれど。 少し遅かったのかもしれない。 「…ごめん」 唇を強く噛み締めたので、涙は一筋きりだった。 それが親指で拭われる。 「なんで謝るの」 「…めんどくさいって思ってる?」 「思ってない」 「ごめん…」 奏太の温もりを感じても、不安な気持ちが拭えない。 奏太が何を思うのか、私にはわからない。 不安でたまらないんだよ…。