「子供」
奏太はそう言ってコーヒーカップを手に取り、口元へそれを運んだ。
「そっか。そういうこと」
「まぁ…焦らずって感じかな」
「…最近知ったの?」
「そう、この間一緒に病院行ってさ」
点灯した携帯電話の画面を机に伏せると、そう言って苦笑した。
「なんだかね、いろいろ考えちゃうけど」
「…愛香さんは?…大丈夫?」
「うん、表向きはね。向こうも仕事忙しいみたいだし」
「そう。…なんかあったら言ってよ」
「ありがとう」
奏太の雰囲気から感じ取れるものが ただの疲労ではなかったのだと、胸のつかえが取れた気がした。
「また、季蛍さんに 頼ることがあるかも」
「うん、うちは歓迎」
「家の空気がどんよりした時、季蛍さんが一人いると全然違うよ」
「それ、本人に伝えたら相当喜ぶな」
「本当に。助かる」
「いつでも大歓迎。遠慮なくどうぞ」
「ん。心強い」


