呼吸を整えながら自動ドアを抜けると、久しぶりだけど大嫌いな消毒の匂いを吸い込んだ。
受付が見当たらず周囲を見渡す。
もう午後の外来の時間は過ぎているので、別の窓口を探すしかないだろう。
今日は早く帰れると言っていた港の声を思い出すと、なぜか泣きそうになってしまう。
ダメだ、ここで泣いたりなんか。
自分の体は冷えていても、腕に抱える結の体は熱かった。
早い呼吸を感じながら、額に滲む汗をタオルで拭う。
病院の廊下を真っ直ぐ歩いていくと、時間外の受付が見えてきた。
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