「……夢」
勢いで体を起こし、いつの間にか眠りについていたことに気がついた。
酷く汗を掻いている。
痛みなど気のせいであるのに、心臓の鼓動が収まらない。
息が詰まる。
手足が震える。
力任せに向けられた痛みが、フラッシュバックする。
制服のリボンが強引に解かれた。
「友達」だと、都合のいい言葉で制された。
ただの友達でいたかっただけなのに…。
『先生』
心臓が飛び跳ねる。
患者の顔が脳裏に過る。
その口元が、嫌な言葉を繰り返す。
遠まわしに『嫌だ』と伝えても、それすら楽しそうに笑うのだ。
そんな言葉、
聞きたくない…。
不快感から吐き気を催した。
意識を飛ばしてしまいたい。
気を失ってしまいたい。
行動を抑制する自分を見失い、寝室を飛び出した。
こんな体、
こんな記憶、
すべて消えてしまえばいいのに……