「…泣いたように見えますか?」
椅子を回して振り返ると、上半身を起こしていた。
ずっと冷やしていたようで、腫れは多少引いている。
「うーん…」
通常なら気に留めることもないだろうが、相手が蒼先生となると話が変わってくる。
「指摘される範囲ではある」
「…そうですか」
「ポロッと言っちゃえば楽になるぞ」
「……」
「誰にも言わない、約束する」
「…すみません」
「……そうか」
「…でも、ありがとうございます」
「……」
「蒼の前では 強くなきゃ」
今更なんの決意だ?と内心 疑問が湧いたが、何らかの問題があることに間違いはなさそうだ。
「助けはきちんと求めるべき」
「…はい、わかってます」
「ホントかよ、俺は不安しかない」
「大丈夫です、だって元気だし」
よく言うよ。
「帰ります、今日は」
「そう、…眠れてはいるんだよね?」
「…はい、それなりに」
「……。しんどかったらおいで」
「…ありがとうございます」