暗闇の中にポッと現れた白い光。
携帯電話で時刻を確認したようで、瞬間的にそれは消えた。
「眠れないの?」
「…起きてたの?」
「こっちのセリフだ」
「…ちょっとね」
「来る?」
「いい」
「即答かよ」
「もっと眠れなくなる」
「…どういう意味?」
「心拍上がるって意味」
「…。それは困るな」
「そうでしょ?」
と一応乗ったが、付き合い始めたカップルじゃあるまいし。
「…ねぇ」
体を動かす気配を感じ、仰向けの体を左へ倒す。
「相談あったら聞いてくれる?」
「……。もちろん」
「今更かよーって怒るでしょ」
「…内容による」
「否定しないんだ」
「今更だと言われる相談があるわけ?」
「ううん、そういうわけじゃない」
「例えの話ね」
「そう、例えばの話」
「…確かに、そういった時間はあまりないな」
「……」
「我慢するのはわかってるし、ギリギリまで言わないでおくのも季蛍らしい」
「……」
「言えそうだったら話して」
「……。ありがと」
声が止むと、寝室は再び静寂に包まれた。
体を仰向けに直した季蛍は、そのまま壁側に全身を向けた。