痛みに歯を食いしばり、体の向きを変えた。
その程度のことで改善される訳もなく、布団の中で膝を曲げて体を縮め込む。
…とはいえ、ソファーで体を丸めていた時よりも 痛みは緩和された。
薬は 奏太が用意した白湯で流し込んだ。
水だと思っていた湯のみは 温かかった。
冷えないようにと考えてくれたのだと思う。
そういう優しさに弱いせいで、「寝ろ」と寝室に押し込まれたのが寂しかった。
横になりたいという気持ちは確かにあるものの、一人にされるより 二人でいる方が心地がよかった。
そんなワガママを言ってみる隙はなく、今夜は大人しく眠りにつく。
こんなに痛みが強く出ることも久々だ。
精神的に不安定であった理由が明らかになったようで、少しスッキリしたけれど。
奏太の胸で少しの間泣いただけで、嫌な感情はすべて忘れてしまうのだ。
あの優しい匂いや温もりが、本当に安心できるから。