「ひとりで悩むのやめよう、お互いに」
「…うん」
寝室の電気が消えた。
視線を合わせなければ、言える気がした。
「あの…ありがと」
言いそびれていた、言いたかったこと。
枕元の明かりを消す前に、奏太は一度頷いた。
視界が暗闇に包まれる。
目を閉じようが開こうが、何も見えなくなる。
あぁ、今は一人になるのが怖いだけなんだ。
黒い空間に抱いた不安のお陰で、ここ数日間 不安定だった理由がわかった気がした。
周りと同じようでなきゃ、世間から突き放されるようで。
怖かっただけ。
結局は私の我儘だ。
「…奏太?」
すでに眠ってしまっていても、それでよかった。
「ん」
それでも、返事があった。
「……なんでもない」
「眠れないなら羊でも数えたら」
「…なにそれ」
奏太の気持ちが本当なら、焦らなくても いいかな、と思った。