キッチンへ荷物を置いてリビングに戻ると、そこには奏太の姿があった。 「あ…」 思わず声を発し、体が硬直する。 「おかえり」 「あ…帰ってたの?」 「仕事してた」 「そうなんだ…いないのかと思ってた」 胸の中にじんわりと広がった。 それが何かはわからない。 体が包まれるような気がした。 まったく持って気のせいだけれど。 「ご飯準備するね」 感情が溢れてくる前に。