患者にとって、精神的に辛い治療であることは理解していた。
ストレスのはけ口にされることは、しょうがないのだと。
それでも、嫌悪感を抱く発言を聞かされるのはキツかった。
それも冗談のつもりなのだ。
全く笑えなくても、ある程度は聞き流す。
反応を見せなければ、"つまらない" と思われる。
そうして早く飽きてくれたらそれでいい。
それなのに。
容姿や身体の変化を指摘されたり、不必要な接触が増えた。
ストーカーまがいの発言には、相手が患者であるということを忘れたくなった。
平気だと思われているのだろうか。
私には、何を言っても大丈夫だと。
「…先生?」
「…あ、ふふ、ごめん」
「大丈夫ですか?」
「ちょっと考え事してた」
私が一人の時だけだ。
彼が調子に乗るのは。