「ごめんなさいちょっと…」
「トイレ?」
彼に返事をする余裕もなく、席を立った。
「すみません、お手洗い…」
「あちらにございます」
店員に声を掛けてすぐに、席に荷物を置いてきたことを思い出した。
戻ろうとも思ったが、そんな余裕はない。
トイレへ駆けこみ、鍵を閉め、蹲る。
揺れる視界に耐え切れず、背中を壁に寄せた。
幸い吐き気はない。
そもそも今日はほとんど食べていないので、出るものもないだろうが…。
とそんなことを考え、薬を飲み忘れていたことを思い出した。
一回の服用がここまで影響するとは思えないが、数時間前から現れた目眩はそのせいかもしれない。
座っていれば落ち着くのはいつものことで、数分後にはトイレを出ていた。
もう帰ろうか。
ここへ来てまで迷惑を掛けるわけにはいかない。
特にこんな時は。


