前倒しになった緊急手術は、無事に終了した。
あの夜、もしも病室に顔を出していなければ。
そう思うと少しゾッとする。
「少し寝たらどうだ」
診察をしに来た松山が、呆れた口調で言うけれど。
「寝たよ」
「あのなぁ…。咲が倒れて困るのは俺じゃなくて永菜ちゃんなんだからな」
「わかってる」
永菜が起きていたら、きっと松山よりも激しく言われるんだろう。
「変化はなさそうだな。目が覚めるまでいるつもりか?」
「まさか。さすがに仕事」
「そうじゃないときは殆どここにいるだろ、咲は」
「いさせてよ、こんな時くらい」
「まぁ、いいけど」