手で押さえても垂れてくる血液に、体が硬直した。



「大丈夫だからね」



その声に顔を上げると、口元にタオルが充てられる。


それを必死に掴もうとするが、手に力が入らない。



「永菜、呼吸に集中して?」



そんな咲の声を必死で聞き取り、意識を手放さないようにすることが精一杯だった。



何の躊躇いもなく伸びてくる指先が、手首に触れる。



視界に入った白衣の袖口は、血に染まっていた。



「永菜ちゃん、少し我慢してね」



部屋の空気が騒がしくなると同時に、息を切らした松山先生の声が聞こえた。